2012年9月アーカイブ
ハンググライダーの事故で全身麻痺になってしまった中年の大富豪のフィリップは、ノーブル、インテリであるが、妻にも先立たれ少々ひねくれている。介護者の同情や腫れ物に触るような扱いはには皮肉な態度を取るため誰も長続きしない。スラム出身の黒人青年ドリス(オマール・シー)は生活保護の申請に必要な不採用通知を目当てに面接にきた不届き者だったが、何故かフィリップは彼を採用することになる。ドリスは親不孝、自身も身内も犯罪者、本人はその日暮らしと、フィリップとは真逆の人生を歩んできたが、階級社会で、さらに異人種、異教徒でお互い接点があり得なかったために、かえって気楽な労使関係から、思いやりを持てる友情に発展出来たのかも。「最高に人生の見つけ方」でも富豪白人ジャックニコルソンと町工場黒人フリーマンのコンビだった。貧富の落差は大きいほどその後の友情はおとぎ話で観る者には楽しい。日本で育った私にはにはそれほど心温まるような話には思えませんでした。
最後にフィリップは結婚したのかな?
阿部サダヲにハズレなし伝説がまたも更新か?夫婦で営む、繁盛している小料理屋を火事のためすべてを失い失意の阿部サダヲに、誠実でまじめ、隠すことなく自己をさらけださす優しいジゴロの才能に気づいた妻の松たかこによって、シナリオ通りに結婚詐欺がうまく進行する。適齢期を伸ばし続ける田中麗奈、キャリアウーマン、オリンピックを目指す重量挙げアスリート、 料亭おかみ、風俗嬢、母子家庭公務員など、殺伐とした日常からちょっとした機会に、だまされた気もないのに、あるいはだまされているのに気付いているのに、それでも男から優しいことを言ってもらいたい、気にかけてもらいたい女性たちを本気にさせて、貢がさせてしまう素朴な結婚詐欺師を阿部サダヲが実にうまく演じます。
終わりごろ、秋の夕方自転車で出かける阿部を不安なものを察して妻が通りまで追いかけるシーンが、映画でよくある場面ですが切ない感じがよく出ていました。★★★★
「アポカリプト」はジャガー・バウがマヤ帝国の追っ手を全て殺して、やっと妻子と再会し、さて旅に出ようとすると、船に乗って浜に向かってくる不吉な予感のするスペイン人を偶然見かけるところで終わりました。
16世紀、ペルーに上陸したピサロ率いる十数名のスペイン人は鉄器と銃でインカ帝国を征服してしまいました。また、北米大陸もコロンブスに発見されてたちまちヨーロッパ人に植民地にされます。オーストラリア、アフリカも然り、アジア、中国も搾取されます。なぜこの400年で人類は持つ者と持たざる者に別れてしまったのか?
13,000年前、人類はアフリカで生まれ、世界に散りましたが、ユーラシア大陸にのみ恵まれた東西に延びた地形、肥沃な土壌、耕作可能な種子、家畜可能な動物、気候、後の文字の発明など幸運な偶然性により、また、中国の様に早すぎた中央集権が不可能だったり、不衛生で伝染病病原菌への免疫抵抗力を持ったヨーロッパ人によって、先住民は病気に罹って亡くなり、そのまま現在も続く不公平な社会になったというのが著者ジャレット・ダイアモンド教授の説です。
上下2巻、とにかく長い本で、2ヶ月以上かかってしまい、その間何も読めませんでした。
南米にも、アメリカにも馬はいなかった、アフリカのシマウマ、サイなどは家畜には適さない、それぞれの大陸にいた原生の大型動物は、たちまち捕獲されて毛皮や、食べられてしまったために絶滅してしまったなど、驚きの歴史書です。ナショナルジオグラフィックからDVDが出ているので見る価値大です。
大きなプロモーションや、予告編も無かったのに、思いがけず驚きのサスペンスでした。マットデイモンの「ボーン」シリーズや、月末上映の「ボーン・レガシー」とかぶるのかと思えるCIAのお尋ね者シリーズ。36カ国の保安部から指名手配を受け、人の心を操ることが得意で、殺しのプロであり、CIAをも裏切る、またCIAにも狙われるデンゼルワシントン。南アフリカが舞台であるけれど、限定されていてワールドワイドな大きさは感じませんでした。しかしストーリーはそれを問題にしないほど面白い。
MI3にもあったけれど、各国の諜報部は、何時使われるか分からない、ハイテク尋問室を持った隠れ家(SafeHouse)が世界中に置いてあるらしい。
カーチェイスのスピード感、「第九地区」ソウェトでの逃亡劇、一軒目、二軒目のセイフハウスでの銃撃音、爆発音など映画が新しくなるたびに演出が洗練され、例えばT.V.で観ていたらトイレに行く暇も無いくらい緊張感が楽しめる傑作でした。★★★★★
BrassBandのコンサートかなと思っていました。金管楽器とドラムとダンスとコーラスのコラボです。
十年以上も前からアメリカで人気の舞台で、知らないのは私だけ、有楽町の東京国際フォーラムはファンで満員でした。BlueManも良かったけれど、その数倍の迫力があります。
太鼓だけのパフォーマンス(鼓童)は観ましたが、それプラス、フルートからチューバ?までが鳴り響き、ダンスもきれいで、客を盛り上げチケットの高さも納得でした。3人の若い日本人の奏者はハイレベルで、特に日本には中高ととブラスバンド経験者はたくさんいると思いますが、ブラストは日本中を公演するので、きっとどこへ行っても大人気間違いなしでしょう。